rogy Advent Calendar 2015 4日目の記事です。
3日目の記事は 簡単・便利な関数 です。
おはようございます。(@tiby_white)です。
サイクロ減速機の作り方という題名ですが、今回書くのは実際に作ろうと思ったときに肝となる曲線板の設計(エピトロコイド曲線の描き方)についてです。
この動画
とかわロボ界隈の方のこの記事を読めばばっちりです。
以上でおしまいです!!!!!
以下蛇足&雑談。
減速機良いですよね
有名なもので遊星歯車減速機、ハーモニックドライブなどがありますが、今回はサイクロ減速機について書こうと思います。
サイクロ減速機とはなんぞやという方は↓の動画を眺めつつ
この記事を読むと分かりやすいと思います。
基本的には偏心入力軸、曲線板、外ピン、出力軸で構成されています。
サイクロ減速機の利点はいくつかありますが、曲線板の歯型が一般的なインボリュート歯車よりも滑らかなため、
CNCフライスを用いて自作が可能
という点が趣味工作マンとしては魅力だと思います。
しかし肝心の曲線板の作り方もエピトロコイド並行曲線の詳細もなかなか出てこない!どうやって作るんだ!という状況でした。(2014年頃まで)
なんとかエピトロコイド並行曲線の作り方、パラメータの対応等分かってきたところで記事を書かねばと思っていましたが、空白の期間が発生し現在に至るという感じです。(上記の方が詳しく書いていることに昨日気付いて絶望しています)
曲線板の作り方は上に挙げたものを見てもらえばという感じなので、
エピ(外)トロコイド曲線は、動円を定円に沿って滑らないように転がしたときに動円上の定点が描く軌跡です。
また、エピトロコイド並行曲線はその名の通り、エピトロコイド曲線をオフセット(平行移動)したものです。
外トロコイドは、定円の半径を$r_c$、動円の半径を$r_m$、回転角を$\theta$、描画点の半径を$r_d$とすると、媒介変数表示で
$$
\left\{ \begin{array}{l}
x = (r_c + r_m)cos\theta - r_d cos(\frac{r_c + r_m}{r_m}\theta) \\
y = (r_c + r_m)sin\theta - r_d sin(\frac{r_c + r_m}{r_m}\theta)
\end{array} \right.
$$
で表されます。
例として右図のような外トロコイドを考えてみます。
$r_c=3$、$r_m=1$、$r_d=1/2$の外トロコイドで、媒介変数表示、で
$$
\left \{
\begin{array}{ll}
x = 4cos\theta - 0.5cos4\theta \\
y = 4sin\theta - 0.5sin4\theta
\end{array} \right.
$$
となります。
これをベクトルのように表記して、
$$
\left (
\begin{array}{ll}
x \\
y
\end{array}
\right )
=
\left (
\begin{array}{}
4cos\theta \\
4sin\theta
\end{array}
\right )
+
\left (
\begin{array}{}
-0.5cos4\theta \\
-0.5sin4\theta
\end{array}
\right )
$$
動円の中心までのベクトルと、そこから動円上の定点までのベクトルの和とみることができます。
右辺右側に注目すると、$4\theta$なので$0\leq\theta<2\pi$で同じ値をとるような$\theta$は等間隔に4つあることが分かります。緑色の円は動円の中心が通る円で、さきほどの式の右辺左部分から半径は4です。
よって各4動円上の定点を通る円を作ると、その円は半径が4で偏心距離0.5で回転することになります。
動円を消して動円上の定点を強調するとこのようになります。
これは見方を変えると、
半径4の円から等間隔に4点選び、各点が外トロコイド上に乗るように自転させると偏心距離0.5で公転する
または、
半径4の円の等間隔に並んだ4点を外トロコイド上に拘束したとき、距離0.5の偏心入力を与えると自転する
と言えます。
この半径4の円と4点がサイクロ減速機でいうところの外ピン、外トロコイドが曲線板の素となります。
いよいよ、エピトロコイド並行曲線をひきます。といっても、さっき言ったように平行移動するだけです。(≠縮小)
下図紫線はもとの曲線を内側に0.5平行移動してできたものです。
定点(→外ピン)もこれに応じて点から円にします。0.5平行移動したので円の半径を0.5にすると常にエピトロコイド並行曲線に接しながら動きます。これで外ピンと曲線板ができました。
偏心軸が一回転すると、外ピンは偏心回転前の次の外ピンの位置まで移動(自転)します。
外ピンの気持ちになって見ると、偏心軸が$\frac{3}{4}$回転したときに曲線板が反対回りに$\frac{1}{4}$回転していることになるので、減速比は-3となります。
外ピンの気持ちの図ものせておきます。
以上より、
ちょっとだけマニアックな内容でしたが誰かしらのお役に立てば幸いです。
指摘、質問等ありましたらツイッターの(@tiby_white)までお願いします。
ではでは
3日目の記事は 簡単・便利な関数 です。
おはようございます。(@tiby_white)です。
サイクロ減速機の作り方という題名ですが、今回書くのは実際に作ろうと思ったときに肝となる曲線板の設計(エピトロコイド曲線の描き方)についてです。
この動画
とかわロボ界隈の方のこの記事を読めばばっちりです。
以上でおしまいです!!!!!
以下蛇足&雑談。
減速機良いですよね
有名なもので遊星歯車減速機、ハーモニックドライブなどがありますが、今回はサイクロ減速機について書こうと思います。
サイクロ減速機とはなんぞやという方は↓の動画を眺めつつ
この記事を読むと分かりやすいと思います。
基本的には偏心入力軸、曲線板、外ピン、出力軸で構成されています。
サイクロ減速機の利点はいくつかありますが、曲線板の歯型が一般的なインボリュート歯車よりも滑らかなため、
CNCフライスを用いて自作が可能
という点が趣味工作マンとしては魅力だと思います。
しかし肝心の曲線板の作り方もエピトロコイド並行曲線の詳細もなかなか出てこない!どうやって作るんだ!という状況でした。(2014年頃まで)
なんとかエピトロコイド並行曲線の作り方、パラメータの対応等分かってきたところで記事を書かねばと思っていましたが、空白の期間が発生し現在に至るという感じです。(上記の方が詳しく書いていることに昨日気付いて絶望しています)
曲線板の作り方は上に挙げたものを見てもらえばという感じなので、
- なぜエピトロコイド並行曲線だと常に全ての歯が外ピンに接するか
- エピトロコイド曲線のパラメータと実際の部品との対応
エピ(外)トロコイド曲線は、動円を定円に沿って滑らないように転がしたときに動円上の定点が描く軌跡です。
また、エピトロコイド並行曲線はその名の通り、エピトロコイド曲線をオフセット(平行移動)したものです。
外トロコイドは、定円の半径を$r_c$、動円の半径を$r_m$、回転角を$\theta$、描画点の半径を$r_d$とすると、媒介変数表示で
$$
\left\{ \begin{array}{l}
x = (r_c + r_m)cos\theta - r_d cos(\frac{r_c + r_m}{r_m}\theta) \\
y = (r_c + r_m)sin\theta - r_d sin(\frac{r_c + r_m}{r_m}\theta)
\end{array} \right.
$$
で表されます。
$r_c=3$、$r_m=1$、$r_d=1/2$の外トロコイドで、媒介変数表示、で
$$
\left \{
\begin{array}{ll}
x = 4cos\theta - 0.5cos4\theta \\
y = 4sin\theta - 0.5sin4\theta
\end{array} \right.
$$
となります。
これをベクトルのように表記して、
$$
\left (
\begin{array}{ll}
x \\
y
\end{array}
\right )
=
\left (
\begin{array}{}
4cos\theta \\
4sin\theta
\end{array}
\right )
+
\left (
\begin{array}{}
-0.5cos4\theta \\
-0.5sin4\theta
\end{array}
\right )
$$
動円の中心までのベクトルと、そこから動円上の定点までのベクトルの和とみることができます。
右辺右側に注目すると、$4\theta$なので$0\leq\theta<2\pi$で同じ値をとるような$\theta$は等間隔に4つあることが分かります。緑色の円は動円の中心が通る円で、さきほどの式の右辺左部分から半径は4です。
よって各4動円上の定点を通る円を作ると、その円は半径が4で偏心距離0.5で回転することになります。
これは見方を変えると、
半径4の円から等間隔に4点選び、各点が外トロコイド上に乗るように自転させると偏心距離0.5で公転する
または、
半径4の円の等間隔に並んだ4点を外トロコイド上に拘束したとき、距離0.5の偏心入力を与えると自転する
と言えます。
この半径4の円と4点がサイクロ減速機でいうところの外ピン、外トロコイドが曲線板の素となります。
いよいよ、エピトロコイド並行曲線をひきます。といっても、さっき言ったように平行移動するだけです。(≠縮小)
下図紫線はもとの曲線を内側に0.5平行移動してできたものです。
定点(→外ピン)もこれに応じて点から円にします。0.5平行移動したので円の半径を0.5にすると常にエピトロコイド並行曲線に接しながら動きます。これで外ピンと曲線板ができました。
偏心軸が一回転すると、外ピンは偏心回転前の次の外ピンの位置まで移動(自転)します。
外ピンの気持ちになって見ると、偏心軸が$\frac{3}{4}$回転したときに曲線板が反対回りに$\frac{1}{4}$回転していることになるので、減速比は-3となります。
外ピンの気持ちの図ものせておきます。
以上より、
- 定円の半径と動円の半径の和$r_c+r_m$が外ピンを配置する円周の半径
- 描画点の半径$r_d$が偏心入力軸の偏心距離
- エピトロコイド曲線をオフセットした距離が外ピン自体の半径
ちょっとだけマニアックな内容でしたが誰かしらのお役に立てば幸いです。
指摘、質問等ありましたらツイッターの(@tiby_white)までお願いします。
ではでは